子供のいない夫婦や一人暮らしで犬を迎えるとき、決めておきたい5つのこと

生活

「夫婦とも帰りが遅いけれど、犬を迎えても大丈夫かな」。
「一人暮らしで、もし自分が入院したら、この子はどうなるんだろう」。
犬を迎えたいと話す友人から、こうした相談をよく受けます。

はじめまして、美容・ライフスタイルライターの宮坂千晶です。
エステサロンで15年ほどエステティシャンとして働き、書く仕事に移って10年目になります。
子供が独立して夫と二人暮らしになった年に、トイ・プードルの「ラテ」を迎えました。
今年で7歳になります。

夫婦二人や一人暮らしは、世話を分け合える人数が限られる暮らしです。
だからこそ、迎える前に決めておいたことが、そのまま犬の暮らしやすさにつながります。
この記事では、公的機関や業界団体の資料を確かめながら、迎える前に決めておきたい5つのことをまとめました。

犬を迎えたい人がためらう理由

一般社団法人ペットフード協会の「2025年全国犬猫飼育実態調査」には、いま犬を飼っておらず、これから飼いたいと考えている人に、飼っていない理由を聞いた項目があります(複数回答、692人)。
上位から順に抜き出すと、次のとおりです。

犬を飼っていない理由割合
世話をするのにお金がかかるから27.0%
別れがつらいから26.4%
集合住宅で禁止されているから26.0%
旅行など長期の外出がしづらくなるから23.8%
死ぬとかわいそうだから20.4%
十分に世話ができないから20.2%
日中ペットだけで留守番させるのはかわいそうだから14.9%
最後まで世話をする自信がないから14.7%

お金、住まい、留守番、最後まで世話ができるかどうか。
並んでいるのは、どれも迎える前に答えを出しておける悩みです。
ここからは、この悩みをひとつずつ「決めておくこと」に置き換えていきます。

1. 迎える犬の大きさと、住まいのルールを決める

最初に決めたいのは、どんな大きさの犬と、どんな家で暮らすかです。

住まいの規約は「ペット可」の中身まで読む

賃貸でも分譲でも、ペット可の物件には飼える動物の種類や頭数、大きさについての取り決めがあることが多いです。
「ペット可」の4文字だけで判断せず、契約書や管理規約の文面で確かめておきましょう。

確認しておきたいのは次のような点です。

  • 犬の大きさや体重、頭数に制限はあるか
  • 共用部分では抱っこやキャリーが必要か
  • 退去時の原状回復はどこまで求められるか
  • 将来引っ越すとき、同じ条件の物件が見つかりそうか

子犬のころの大きさで決めない

ペットショップやブリーダーのもとで見る子犬は、どの子も手のひらに収まりそうなほど小さく見えます。
けれど、成犬になったときの大きさは犬種によって大きく変わります。

わかりやすい例が、プードルとゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなどを掛け合わせた「ドゥードゥル」です。
ジャパンケネルクラブの登録犬種一覧には入っていないミックス犬で、親の組み合わせによって大きさに幅があります。
アメリカの動物医療情報サイトPetMDでは、スタンダードサイズのゴールデンドゥードルの体重を約23〜41kgとしています。

エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」を創業した美容家のたかの友梨さんも、2023年6月に公式Instagramでドゥードゥルの子犬を迎えたことを報告しています。
「今日から家族が増えました」という短い言葉から、迎えた日のうれしさが伝わってきます。
その様子はたかの友梨さんが子犬を子供のように迎えた日の投稿で見られます。
翌年の公式ブログには「ドゥードゥルのバニラ」が登場し、「こんなに大きくなりました」と紹介されていました。

大きくなる犬は、散歩の時間も、トリミング代も、車での移動もそれに合わせて変わります。
迎える前に「成犬になったときの体重」と「1日に必要な運動量」を調べ、今の住まいと体力で無理なく暮らせるかを考えておくと安心です。

2. 留守番の時間と、世話の分担を決める

仕事を持つ夫婦や一人暮らしの場合、犬は日中ひとりで過ごす時間が長くなりがちです。

年齢ごとの留守番の目安

ヤマザキ動物看護大学で動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵さんが監修した記事では、留守番の目安を排泄のリズムから説明しています。
内容を整理すると、次のようになります。

犬の時期留守番の目安
トイレトレーニング中の子犬3時間以上ひとりにしない
生後3か月を過ぎた子犬月齢がほぼ時間の目安(生後5か月なら5時間)
成犬(1歳以降)一般に6〜8時間
7歳以上の高齢犬健康なら成犬と同じ。慢性的な不調があると苦手になることも

フルタイムで働くと、通勤を含めて家を空けるのは9〜10時間ほどになります。
子犬を迎えるなら、最初の数か月は昼に誰かが様子を見に来られるかどうかが分かれ目です。

わが家がラテを迎えたのは、私が自宅で原稿を書く日が多かった時期でした。
それでも取材で半日家を空ける日は、夫と予定をすり合わせて、どちらかが早めに帰るようにしていました。

夫婦なら「誰が何をするか」、一人なら「誰に頼るか」

夫婦二人の場合は、世話の分担を言葉にしておくと、あとでもめずに済みます。

  • 朝と夕方の散歩、ごはんの係
  • 平日の昼に動物病院へ連れて行くのはどちらか
  • 犬が体調を崩した日に、仕事を休むのはどちらか
  • 旅行や帰省のときの預け先

一人暮らしの場合は、この一覧のすべてを自分が担うことになります。
ペットシッターや犬の幼稚園(日中の預かり)、留守中の様子が見られるペットカメラなど、使えそうなサービスを、迎える前に近所で探しておきましょう。
料金は地域やお店によって差が大きいので、実際に問い合わせて確かめるのがおすすめです。

3. 犬が天寿を全うするまでのお金を決める

犬を迎えることは、10年以上にわたる出費を引き受けることでもあります。

ペットフード協会の同じ調査では、犬の平均寿命と、生涯にかかる費用を次のように示しています。
くわしい数値は、協会の全国犬猫飼育実態調査のデータ一覧で公開されています。

区分平均寿命生涯必要経費
犬全体14.82歳2,784,190円
超小型犬15.28歳3,002,239円
小型犬14.59歳2,582,402円
中・大型犬13.63歳2,775,565円

犬1頭を飼っている人の1か月の支出は、平均16,030円でした。
超小型犬の生涯費用がいちばん高いのは、寿命が長いぶん、払い続ける年数も長くなるからです。

自分の年齢から逆算してみる

金額と同じくらい大切なのが、年数です。
いま50歳の人が子犬を迎えると、その犬が15歳になるとき、飼い主は65歳になっています。

定年や年金生活に入ったあとも、ごはん代や医療費、トリミング代を払い続けられるか。
犬が年をとって介護が必要になったとき、自分の体力で支えられるか。
迎える前に、家計の計画に「犬の15年」を書き込んでおくと、あとで慌てずに済みます。

病気やけがの治療費は、月々の平均には収まらない形で急に出てきます。
ペット保険に入るか、犬のための積み立てを別に作るかも、このタイミングで決めておきましょう。

4. 自分が動けないときの預け先を決める

子供のいない夫婦や一人暮らしの場合、いちばん見落としやすいのが「飼い主が動けなくなったとき」です。

自治体の譲渡条件が問いかけていること

保護犬を迎えようとすると、この点をはっきり問われます。
たとえば群馬県は、新しい飼い主さんを募集するページの譲渡条件で、家族と同居しておらず、もしものときに飼ってくれる人がいない場合は譲り受けを遠慮するよう求めています。
66歳以上の人には、20歳以上60歳以下の後見人も必要です。

ほかの自治体にも、似た条件があります。

  • 茨城県は、単身世帯ではないことを犬の譲渡の条件にしている
  • 福島県は、一人暮らしや60歳以上のみの世帯に、60歳未満のサポート者の指名を求めている

厳しく見えるかもしれませんが、これは「あなたが倒れたら、この子は誰が見るのか」という問いです。
ペットショップやブリーダーから迎える場合も、同じ答えを用意しておくに越したことはありません。

預け先の候補と、緊急連絡カード

預け先の候補は、ひとつではなく複数あると安心です。

  • 近くに住む家族や友人
  • かかりつけの動物病院(預かりをしているか確認する)
  • ペットホテル
  • ペットシッター

候補が決まったら、相手に事前に了承をもらっておきましょう。
東京都動物愛護相談センターは「ペットを守る緊急連絡カード」を配布しています。
了承をとった緊急連絡先、かかりつけの動物病院、持病や処方食などを書き込み、見つかりやすい場所に置いたり、ふだんから持ち歩いたりするためのカードです。

一人暮らしで急に救急搬送されると、家に犬がいることを誰も知らないまま時間が過ぎてしまいます。
私は財布の免許証の隣に、ラテの情報と夫・妹の連絡先を書いたカードを入れています。

5. 万が一のときに犬を託す方法を決める

預け先が「しばらく預かってくれる人」だとすれば、こちらは「最後まで飼い続けてくれる人」を決める話です。

東京都保健医療局のパンフレット「ペットと暮らすシニア世代の方へ」では、飼い主が先に亡くなった場合の備えとして、次の2つを紹介しています。

  • 弁護士や行政書士に相談して、ペットを誰に託し、財産をどう残すかを決めた遺言書を作る
  • 信託会社にお金を預けておき、いざというときにペットのために使う仕組みを利用する

シニア向けの冊子ですが、内容は年齢を問わず当てはまります。
パンフレットには、ペットを譲りたい相手から承諾を得ておくことも大切だと書かれています。
民法では、遺言で財産を受け取る側は、その遺贈を放棄できるとされています。
遺言に名前を書くだけでは足りず、本人と話して引き受けてもらうことが欠かせません。

頼むときは、いきなり重い話にせず、こんなふうに切り出すと話しやすいと思います。

「縁起でもない話でごめんね。もし私に何かあったとき、ラテを引き取ってもらえないかと思って。ごはん代や病院代は、ちゃんと残しておくつもり。すぐに返事しなくて大丈夫だから、考えてみてくれる?」

相談先は、弁護士、司法書士、行政書士、保険会社のほか、市区町村の法律相談窓口も使えます。

迎えてから30日以内にする手続き

5つのことが決まって犬を迎えたら、すぐに必要な手続きがあります。

ブリーダーやペットショップで販売される犬には、2022年6月1日からマイクロチップの装着が義務になりました。
購入した場合は、登録されている情報を飼い主自身の情報に変える「変更登録」が必要です。
手数料はオンラインなら400円、紙の申請なら1,400円です。
手順は環境省の犬と猫のマイクロチップ情報登録についてのページにまとまっています。

狂犬病予防法にもとづく手続きも忘れずに行いましょう。

  • 犬を迎えた日から30日以内に、住んでいる市区町村に登録する(生後90日以内の子犬は、生後90日を過ぎてから30日以内)
  • 狂犬病の予防注射を毎年1回受けさせる

市区町村が国の特例制度に参加していれば、マイクロチップの登録が狂犬病予防法の登録を兼ねます。
予防注射は、2027年3月2日から年間を通して受けられるようになることが、厚生労働省の省令改正で決まっています。
手続きの細かい流れは自治体によって違うので、住んでいる市区町村の案内を確認してください。

まとめ

子供のいない夫婦や一人暮らしで犬を迎えるとき、決めておきたいのは次の5つです。

  • 迎える犬の大きさと、住まいのルール
  • 留守番の時間と、世話の分担
  • 犬が天寿を全うするまでのお金
  • 自分が動けないときの預け先
  • 万が一のときに犬を託す方法

どれも、迎えたあとに考え始めると慌ててしまうことばかりです。
反対に、先に答えを出しておけば、少ない人数の暮らしでも、犬は安心して家族の一員になれます。

ラテが来てから、夫との会話は確実に増えました。
散歩の途中で近所の人と立ち話をするようにもなりました。
この記事が、これから犬を迎える方の準備に役立てばうれしいです。

最終更新日 2026年10月29日 by トゥルソワソワ

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